現場日記:U様邸【完結】8月30日更新
【物件データ】
■所在地 :仙台市太白区
■種別 :マンション
■専有面積:74.05㎡
■建築年:1983年
こんにちは!
設計の菅野です。
今回は写真を撮る事がお好きなご夫婦のこだわりリノベ。
部屋の中でそれぞれ写真を撮りたいんです!
そんな話から打ち合わせがスタートしました。
撮影出来る背景の壁はしっかりあった方がいいなあ・・・
撮影は自然光で撮れた方がいいし、かつ逆光にならない様気を付けないと・・・
など、間取り+撮影スポットも考えながらプランしました。
U様が今回弊社に問い合わせをかけて下さったのが、昨年販売していたこちらのモデルルーム↓
「内装の色味や、何よりヘリンボーンの床が好みだったんです!」
そうおっしゃって下さったので、ヘリンボーンの床や内装の色味はこちらをベースに、U様のお好きなテイストとミックスしたご提案をさせて頂きました。
間取りも少し拘って、玄関先にぱっと目を引く空間を作ってみたり・・・↓
何のスペースかは出来上がってからのお楽しみという事で 笑、工事スタートです!
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【before】
解体前の様子。
▲室内に電気温水器が
▲玄関より
▲キッチンより
▲LDK:壁面はアスベスト調査の際に開口
▲和室より
よくある南北に長い中部屋ですが、前の方がしつらえた造作家具などもありこれはこれで素敵でした。
部屋が細かく分かれているので和室の方はちょっと暗いかも・・・
この辺りをワンルームにし、自然光をしっかり取り込みたい所です。
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2023/4/19~
Ⅰ.解体工事
今回もフルリノベーションなので、どんどん壊していきます。
途中経過でこのゴミの量↓
ここに写っていない同じくらいの量のゴミが
毎度ですが、一軒壊すと、本当に何㎥ものゴミが出ます。
マンションだとこれを運び出すのも手間だったりして、かなり大掛かりな作業になります。
▲丁寧に材ごとに分けられたゴミ
解体完了↓
外周部の壁の断熱材は石膏ボードと一体型の物だった為、外壁壁もつるっと綺麗に躯体が現れました。
解体して初めて分かった雑排水を流す排水竪管の通気管がずれや、外周壁のクラック(外部より補修済)、今まで起きた地震の爪痕。
まずは壁を塞ぐ前に直してもらう段取りです。
解体して直ぐに間取りを土間スラブに移すスミダシ、給排水配管作業も行いました。
▲黒い線で書いてあるのが壁を建てる位置
墨出しを終えた翌日にはU様と施工管理スタッフと営業、プロジェクトに関わるみんなを交えて解体検査。
解体状況のご説明と間取りの確認をさせて頂きました。
色々と準備が出来た所で本工事スタートです!
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2023/5/9
Ⅱ.断熱工事
今回も断熱施工はウレタン吹き付け。
マンションの立地にもよりますが、大きなトラックが停められる所であれば一番手早く施工できるのが吹付断熱施工です。
窓の多い角住戸でも半日位で終わり、工期も短縮できる優れもの。
吹付作業を見るのが好きな菅野、いつもわくわくしながら動画を撮っています 笑
今回は壁の断熱材が何も残ってないので、どこを吹いたかわかりやすい!
いつも仙台市の省エネ基準30mmを目指して吹きますが、一回ではそれだけの厚みが出ない為、重ねて2回吹き付けます。
今回も外周面全てしっかり吹きつけられました!
これで空調効率が上がり、電気代が安くなるに違いない!
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2023/5/11
Ⅲ.左官工事
いつもだと断熱を吹き付けた後は壁下地工事なのですが、
今回は先に天井の化粧を。
打ち合わせ当初からご希望されていたモルタル天井だったのですが、事前に天井の状態が綺麗でない事(クロスが直接貼られていた為)お伝えし、モルタルを上塗りする計画に変更。
壁下地を汚さない今のタイミングで施工する事になりました。
下地の状態はそのままに、ラフな感じで塗っていきます。
乾いた状態がこちら↓
程よくムラが出ていい感じ!
ちなみに躯体そのままの状態と塗った所の色の違いはこんな感じです↓
フラットな感じには仕上がりますが、塗装では真似できない色むら・艶はモルタル塗りならでは!
今は綺麗ですが、経年変化でヒビやムラも出来、味が出て来るに違いない。
壁も立ってないのに、既に仕上がりが楽しみです 笑
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2023/5/12~
Ⅳ.下地工事スタート
設備配管・断熱工事まで終わると次はいよいよ壁や天井の下地組。
今回は軽量鉄骨(LGS)で組んでいきます。
数日ぶりに現場を見にいったらあらかた壁下地が建っていました。
早い!
丁度、電気屋さんやエアコン屋さんも来て配線やら配管工事中。
施工担当スタッフと大工さんと収まりの打ち合わせ。
私も横でフムフムと話を聞きます。
今までは私達設計スタッフが現場も見ていたのですが、今年から施工担当のスタッフがメインで現場管理をする事に。
二人で現場を見れるのは本当に心強い!
若いスタッフですが、現場管理の経験年数は10年以上の2児のお父さんです。
頼りになります!
テクニカルな部分は施工担当に、私達設計は細かいディティールやお客様のと打ち合わせした意図がきちんと反映されているかの確認を中心に、ダブルチェックが出来る様になり、より品質の高いお住まいが提供できる事間違い無しです。
ちなみに現地確認に行った日はユニットバスの設置日。
ユニットバスの施工業者さんと設備屋さんと一緒に入って先ずは配管を繋ぐ作業を行います。
お互い色々な現場で顔を合わせているので、「こないだはどうも~」など話をしながら作業を進めていきます。
排水管を繋いだらユニットバスの床を乗せて・・・
この後浴槽、壁パネルや天井パネルを乗せていきます。
U様こだわりの壁パネルの色とても素敵!
約1日かけて仕上がりました!
かっこいい!
U様が選ばれている内装全般の色味ともマッチしていてとても良いです。
中間検査の際にも「わ~!この色にして本当によかった!」と言って頂けてほっとひと安心。
壁・天井下地とユニットバスの設置が終わると次は床組です。
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2023/6/6~
Ⅴ.遮音床組~床仕上げ
ユニットバスも設置され床の高さが決まると次は遮音の床組工事。
今回はペット可物件という事で、わんにゃんが走っても音が響きにくい様にグラスウールを敷き込み。
遮音効果だけでなく断熱効果も上がります。
現場を見に行った時は既に床の1/3が貼られている状態でした。
見た目にも暖かそうです。
詳細な床組み方法は過去ブログをご覧ください。
遮音の床組+下地張まで終わりました↓
▲フローリングと水廻りの塩ビタイル貼り分け箇所は下地を増し張りする事で高さ調整
今回の現場も土間スペースを広く取っているのですが、間取り的にとても面白いのが玄関上がって直ぐに靴を脱いで上がるエリアがある事。
ここがどういったスペースなのかは完成後のお楽しみという事で・・・
床下地が完成すると次はいよいよフロアー貼。
まずは貼る前に床の貼り方向などを確認します。
最初は寝室のパーケット「調」フロアーから。
本来であれば寄木で一つづつ組まれたフロアー形状をがパーケットフロアというのですが、
今回は表面の突板(木をスライスした物)でパーケット「調」に作られたフローリングを採用。
新商品で初めて現物を見たのですが、なかなかレトロでかわいいです!
今回は300角のデザインなのでどちらの向きにしても違和感ないのですが、どちらの向きが半端がないかは必ずチェック。
どうも今回はこちらの向きが納まりが良さそうです。
どちらでもという物でも入念に確認しないと「なんだかな・・・」という微妙な納まりになるので、
細かい納まり迄確認するのも私たちデザインする側の仕事だと思っています。
職人さん達もいつも細かい事ばかり言っているので(すいません・・・)必ず「今回はどうする?」と聞いてくれます。
本当にありがたいです!
次は本命のヘリンボーンフロアです。
仕上がりや貼り方向を確認したかったので、箱から引っ張り出し仕様書に記載したパターンを参考に仮並べ↓
うわぁ、素敵!かっこいい!
今回は色付きオイルで塗装しているので木本来の色むらはそこまで目立たないのですが、オークの木目や照りが際立って素敵です。
貼方向を確認したら、いよいよ床貼本番です!
翌日の15時頃の貼り状況↓
写真の面積で大体2㎡くらい。
部屋全体の割付などを全て確認したり、目地のラインがずれない様に墨出ししたりと、
貼り始める前準備が普通のフロアーの何倍もかかるのがヘリンボーン貼。
1ピースも細かいので、やはりなかなか進みません。
上記の面積を貼るのも二人がかりで半日以上。
気が遠くなる作業を地道に進めて貰います。
ヘリンボーン貼りはピースが細かい分、商品としても割高なのですが、プラス施工手間も倍以上。
少し贅沢な拘り商品です。
ヘリンボーン張りは見た目のインパクトが強い分、その他の仕上がりはシンプルにまとめてる事をお勧めしています。
床貼が終わった所で中間検査。
検査の時にU様に床の仕上がりを確認して頂きましたが、
「素敵!」の一言を頂けたのでほっとひと安心!
床貼が終わると次は建具枠を取り付けたり壁に石膏ボードを貼ったりの作業です。
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2023/6/12~
Ⅵ.内装下地貼
床が終わると壁・天井の下地補強→天井ボード貼→建具枠取付→壁ボード貼の順で進んでいきます。
ここからの作業でだいたい3~4週間かかるので、大工工事の折り返しという所でしょうか。
ボード施工中↓
今回は床材にこだわった分間取りはシンプルなので、3週間弱で下地完成↓
今回一部の壁が塗装仕上げの為、ボードのジョイントを下に(マニアックな話ですみません)
塗装仕上げはどうしてもクロスよりジョイントで割れやすいで、目線がどこなら逸らせるかを考えて貼り方を指定させてもらいました。
何とか綺麗に仕上がって欲しい・・・!
そんな事を思っている最中、再び野崎が登場↓
何を指示して取り付けようとしているかは後程という事で、次回から内装仕上げに入っていきます。
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2023/7/9~
Ⅶ.内装仕上工事
前回野崎が指示して取り付けて貰った什器がこちら↓
塗装で塗り潰すのが勿体ない位綺麗に仕上がっていますが、こちらを含め各所塗装していきます。
今回は壁面も一部塗装。
まずはパテ(下地)処理から・・・↓
パテ処理が終わったら色を塗っていきます。
色はU様拘りのグリーン↓
こちらのグリーンはなかなか色が決まらず、何と5回も塗りました!
(調色した塗料でも、色によっては下地の色が透けて見えたりして、正確な色が出なかったりします)
今回は一部の壁と、建具や巾木も塗装仕上げ。
壁に合わせて建具の色を設定しているので、かなりの色数です↓
数日かけてやっと塗装が仕上がりました!
いい色に仕上がって嬉しかったので、思わずその日にU様へ画像を送信 笑
玄関先のこちらは深緑に塗装。
格好いい!
塗装が終わると次はクロスやビニル系の床仕上です。
だいぶ家らしくなってきました!
クロスの仕上げが終わると、キッチンや設備の取付やタイル仕上げ、家具や照明とどんどん仕上げていきます。
▲キッチン取付。今回幅はなんと285㎝!
▲テラゾー風土間タイル。雰囲気あります!
▲LDK用建具も家具屋さんで造作。床と同じオイル仕上で
▲今回はダクトレールメインの照明計画
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2023/8/9~
Ⅷ.完成
今回は弊社スタッフがかなり格好良く写真を撮ってくれた写真を元に、エントランスより順にご紹介します。
まずはエントランス。
入って直ぐ左の空間はというと・・・
パースとして描かせて頂いた離れのスペース。
こちらはウォークインクローゼットです。
ご主人様が打ち合わせ初回からおっしゃっていた「古着屋の様に格好良くしたい!色々見せて収納したい!」を実現する為に、ショーウィンドウの様なパーティションと敢えてオープンな空間をご提案しました。
洋服を掛けると中も程よく隠せ、よりお店っぽい雰囲気に。
靴を履いてコーディネートチェックをしたいとのお話もあったので、土間スペースを思い切って空間を横断する形でL形に配置しています。
靴を履かないと辿り着けないスペースですが、靴もレイアウトの一部として素敵に並べると、ディスプレイの一つとしても映えそうです!
次は廊下突き当りのドアを開けると・・・
LDKです。
こちらがトップ画像に載せていたパースと同じカットです。
キッチンのデザインは変わりましたが、その他はパース通りの仕上がりに。
部屋の構成はシンプルですが、一部屋で壁の色を白/グレー/グリーンと3色使い。
趣味である写真撮影を楽しんでいただく為の背景を作りました。
テレビ設置面はシンプルにグレー一色。
お客様拘りのヘリンボーンが映えて素敵です!
とにかく広いLDK。
将来家族が増えた時にも部屋が分割出来る様な照明計画にしています。
しっかり壁を作るのも良し、置き家具でゆるく仕切るも良し、
ウォークインクローゼットもですが、どういった形がご自身達の暮らしにフィットするのか、その時その時で考えながらお住まいを育てて頂ければと思います!
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余談ですが、お引渡しの時に奥様ご希望のハンモックを取り付けてみる事に。
高さ等など、まだまだ調整が必要ですが、ハンモックや植物を置くだけで雰囲気出た!と、U様と弊社スタッフで喜びを分かち合いました 笑
お引渡し後のご訪問が楽しみです!