現場日記:K様邸【完結】12月20日更新

【物件データ】

■所在地 :仙台市青葉区

■種別  :マンション

■専有面積:77.76㎡

■建築年:1984年

 

こんにちわ!

設計の菅野です。

厨房みたいにガシガシ使えて広々としたキッチンを設置したいんですよね!

私達食べるのも飲むのも好きだし、友達も招いてキッチンを囲みながら飲んだり食事をしたりしたいんですよね!

なんてお話から今回の打ち合わせがスタートしました。

 

今回の物件は、角部屋で隣接する高い建物も無く、日当たり良好。

窓を上手く活かしたいんですよね。

そうですよね、そうですよね!

私も初めて物件を見させて頂いた時窓の多さと日当たりの良さがとても印象的で、何とか上手く活かしたいなあと思っていました!

部屋ごとに区切るのは何だか勿体ないなあ・・・

そこで今回は、窓を活かす為に2つのご提案をさせて頂きました。

 

1つ目は窓辺のヌックスペース(窓際ベンチ/トップ画像参照)

2つ目は土間スペースからキッチンへ抜ける回遊動線

 

今回1をご提案した理由としては、柱一本分位を開けた二つ並びの腰窓が大きく日当たりも良く、かつ腰を掛けるのにちょうどいい高さだった事。

2に関しては、アウトドア収納兼ワークスペースを土間スペースとして広く取りたいというご要望から、ふむふむ、キャンプに行く時クーラーバックに食材詰めるよね?デスクスペースも兼用なら土間スペースもリビングと温度差無く暖かい方がいいよね?

なんて考えから、西面の3窓が連続で見え、キッチンと土間スペースを繋いだ回遊動線をご提案させて頂きました。

連続窓が複数視界に入る事で空間に広がりも出来、光も風も抜けて気持ちの良い住まいになりそうです!

 

 

料理が大好きなご主人様こだわり設備が入った造作キッチンや、どうしても置きたい!とおっしゃた業務用冷蔵庫、仕上がりが楽しみな拘りリノベスタートです!

 

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【before】

解体前の様子。

他社さんの表層リフォーム済再販物件の為内部はかなり綺麗です。

キッチンの向きは変えられており壁付の物が対面キッチンになっていました。

南側も元々は個室が2間あった所をリビングにしたとの事。

南の履き出し窓もですが、西の腰窓からもしっかり光が入ります。

キッチン正面の大梁は立ち上がりもかなりあり、結構圧迫感が。

少しでも高さを稼ぐ為、梁囲いは撤去せずクリア塗装をする事に。

 

 

 

 

お風呂や脱衣室廻りはレイアウト変更なく設備が入れ替えられていました。

今回はせっかくならお風呂や化粧台をもう少し大きくしたいなどのご要望もあり、トイレ以外は再利用せずやりかえる事になりました。

 

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2023/6/12~

Ⅰ.解体工事スタート

 

今回もフルリノベーションなので、どんどん壊していきます。

写真は解体2日目の朝。

ちょっと迫力がある写真が撮れました。

 

 

 


 

このブロックで囲まれている所がキッチンの排水竪管が入っているパイプシャフト。

触れない物の目視で確認できる様に開口が開けられていました。

 

 

お風呂廻り。

こちらのブロックの裏には浴室、洗面廻り、トイレの排水竪管が。

壊してみると設備は新しい物の新築当初の古い配管がお目見え。

今回は全て壊す為、解体後旧配管は根元までばっさり撤去します。

 

 

上記写真は戸、こちらは表しではなく囲って綺麗に仕上げる方向に。

 

解体後↓

 

 

 

 

真四角に近いこの物件。

77㎡とファミリー向けにしては少し大きめで窓も多く真四角に近い形状。

かなり広く感じます。

東西を横断する大梁は梁囲いを壊しても大迫力。

キッチン廻りの天井の工夫などで少し目線を逸らせるといいなあなんて思いながら工事スタートです。

 

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2023/6/25~

Ⅱ.工事スタート

 

まずはいつもの様に墨出しから。

 

 

青いスプレーは解体検査の際ボリュームを見て頂く為の印で、この日の作業は水平・垂直を

見ながらきちんと壁を建てる位置を決めていく作業。

どこの寸法を優先でどこで調整するかなど、現地で細かく指示をしながら進めていきます。

今回外周部は断熱材を増し張りする為、外周部以外の所をまずは印を。

結構細かい作業で、2人がかりで約1日かかる作業。

私もたまに手元をやったりするのですが、立ったりしゃがんだり、かつ細かい計算をしていかなければいけないので結構大変な作業だったりします。

 

この日は大工さんと同時に天井の左官仕上も入りました。

 

 

▲塗りたて

 

▲乾いた状態。いい感じでムラになりました。

 

モルタル自体は固く厚みも数ミリの物なので、スラブの割れに沿って割れてきたり穴埋め箇所に隙間が空いてきたりもするのですが、躯体状況は酷いけど綺麗過ぎるのは嫌という方にお勧めです。

天井が塗り終わったら断熱施工といきたい所ですが、予定していた断熱材メーカーさんの納品が遅れ、絡みのない所から壁を建てていく事に。

今回の壁下地は軽量鉄骨でなく木下地で。

LVLという、反りが少ない積層・圧着してつくられる建材で、木材の乾燥による収縮・反り・割れ等の変化が起きにくい材質を使用していきます。

軽量鉄骨と比較しても大差ない材の為、職人さんの得意な方でお任せしているのですが、

今回は近隣の方への音の配慮もあって、加工する時も音が響きにくい木下地を選定。

木下地が得意な大工さんにお願いしました。

 

 

▲軽量鉄骨との併用

 

▲スラブの不陸(ガタガタ)を調整する為の木パッキン。作業が細かい!

 

▲場所によっては木のみで下地組。加工性よく削ったり調整できるのは木下地ならでは

 

 

これだけで部屋が出来上がった気分になります 笑

 

余談ですが、工事前お客様によく聞かれるのが、「躯体表しにしたいんですけど、どこまでラフなんですか?」

折角なので、K様邸の躯体状況を少しだけ・・・↓

(写真は拡大してご覧いただけます)

 

▲左半分の黄色い部分はクロスが直接貼られていた所、反対は天井を組まれていた所

 

 

 

▲梁;下地が組まれている場合は型枠の木片やメモ書きが結構な割合で出てきます

 

ご覧の通り、かなりラフな仕上がりです。

本当に古い物件だとスラブの一部が木の板一枚だったり(竣工当初の資材搬入口)、当時の新聞や軍手が出てきたり・・・

今回位の築年数だとスラブ上(宅内)配管ですが、古いマンションだとスラブ下に上階の排水管が出てきたり・・・

今回K様も解体検査の際仕上をどうしようか悩まれていましたが、どのマンションも壊してみないとという所で、躯体表しを希望される方はどこまでのラフさが許容範囲か?許容範囲を超えた場合どういった仕上げなら良しとするのか?事前にご家族でお話合いをして頂くとよいかもしれません!

 

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2023/7/3~

Ⅲ.断熱工事/遮音床組

 

間仕切の壁をざっくり組んだ所で断熱材が入ってきました↓

今回の断熱材はボード状の物。

・街中やマンション自体の敷地が狭く、断熱の工事車両が停められない時

・高層階の時

などは、この様なボード状の物を施工させて頂く事が多いです。

今回は既存断熱もあったのですが、厚みを測ってみると15㎜程度しかなく、

現在の仙台市の断熱基準の半分程度しか厚みがありませんでした。

上記は着工前のアスベスト調査の際に確認出来ており、

着工前から計画していました。

今回は既存断熱を捲るのももったいないので上張りという選択をしましたが、室内の空間を少しでも広く取りたい為、厚みが薄くてもしっかり性能が出るネオマフォームを採用する事に。

 

 

既存断熱の凹凸を削って→ボードを貼って→貼っての地道な作業を進めていきます

 

 

 

 

 

今回の断熱施工は下地との色々な絡みがもあり、大工さんが施工を担当。

全ての壁を一気に貼らずに、一部を貼っては下地を組んでを繰り返していきます。

 

そして外周部を全て貼り終わると、外周壁の下地組↓

何故断熱を全て終わらせずに壁を建てたかと言うと・・・

 

 

遮音の床を組む為でした。

(詳細な床組み方法は過去ブログをご覧ください!)

まずはいつもの様に際根太施工から。

(壁際が下がらないように壁際を補強しつつ、床材の受けを作る工事)↓

 

 

際根太が終わったら、いよいよ遮音の床組みです。

 

▲接着剤で足を固定中

 

▲遮音の床組みが終わったら床を補強する為の合板張り

 

▲音を反響させない為、今回も十字に断熱材を入れ

床の高さによって材料を変えたりしています

 

▲余談ですが、現場内も厚くなってきたので扇風機も登場

 

▲2人掛かりであっという間に8割がた完成

 

こんな感じで床組み~床下地工事まで完成です↓

 

 

 

 

 

 

↑奥に見えるのがゆったり取った土間スペース。

う~ん、広い!

出来上がりが何のスペースになるかはお楽しみという事で続きます。

 

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2023/7/29~

Ⅳ.ユニットバス施工~フローリング貼

 

床下地が終わったタイミングでユニットバスの組み立て。

今回は浴室内に梁がある為、加工がなかなか大変です。

梁にぶつかる壁パネルを切り欠き、梁カバーの部材を収め・・・

職人さんの腕の見せ所です!

 

 

 

 

無事綺麗に納まりました!

 

そして引き続き壁・天井の下地組作業・・・

細かい所を進めていきます。

 

 

 

 

下地が粗方終わった所で、今度はフローリングの施工に入ります。

今回のフローリングはこちら↓

 

 

バーチ(日本名:カバ桜)の無垢材に天然オイルで着色したフローリングです。

アンティーク家具等とも相性が良さそうな綺麗な色味で素敵です!

 

今回はK様より「自分で貼ってみたい!」とのお言葉を頂いたので、

大工さん指導の元、フローリングを数枚貼って頂きました!

(午後の西日の差す中大変だったと思います…K様本当にお疲れ様でした!)

 

 

 

 

ここはこの角度でこれ位の間隔で・・・

なるほどーー!

なんて会話を繰り広げながら、楽しそうに作業されているK様ご夫婦を見て、

見ている私まで楽しくなりました!

 

最後の方は慣れてこられたのもあり、手際よくさくさくと進められていました↓

 

 

 

 

後日K様より、

「いい思い出になりました!」「家により愛着が湧きそう!」

なんてお言葉を頂けて、思わずニンマリしてしまった菅野(恐らく佐藤も)です 笑

 

余談ですが、後日フローリング施工の続きを確認しにいった所、

一番複雑な箇所を施工している所に遭遇↓

 

 

コの字に切欠かれたフローリングがピタっと納まる所を見て、

わーー!これぞプロの技!

なんて、大工さんの凄さを再認識したのでした。

 

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2023/8/30~

Ⅴ.下地ボード貼~造作家具取付~最終仕上げ

 

少し更新が空いてしまいました。

フローリングを貼り終わるとひたすらクロス下地のボード貼り。

 

 

毎度の事ながら、ボードを貼ると一気に部屋っぽくなります。

ボードを貼り終わると、躯体表し箇所の防塵クリア塗装。

埃を付きにくく、かつポロポロ粉が落ちて来るのを防ぎます。

 

 

 

 

 

 

今回寝室も完全に壁で囲わない間取りなので、とても広く感じます!

 

下地工事が終わると次は内装仕上。

角にペタペタコーナーを綺麗に納める為の材料を貼っていきます。

 

 

 

今回、全てのお部屋をすっきり・シンプルに仕上げる為に、極力見切りや枠を付けない収まりに拘ったお陰で、コーナー材の本数が大変な事に・・・

貼っても貼っても終わらないと嘆くクロス屋さんに、「ごめん!でも頑張って!」と𠮟咤激励かできない菅野(酷いですね私)

少し心配していましたが、さすがプロ!ややこしい納まりも時間をかけて綺麗に仕上げてくれました。

 

内装工事が終わると、今回のメインイベントと言ってもいい家具類の取付!

ご主人様拘りのキッチンと、天井ルーバーを収めていきます。

 

▲大工さんと家具屋さんで作成会議中

 

▲ラワン材(ラワンランバー)で製作したルーバー

いい色の材料が入荷するまで待った甲斐ありました

 

▲レーザーで慎重に位置を確認

 

今回は、キッチンのルーバーは照明だけでなく、レンジフードの排気ダクトや色んなものが絡むんで、かなりシビアな位置出しが必要に。

さらにルーバー間に水平・垂直の出ていない大梁を挟むので、取付は困難を極めましたが、何とか無事取付完了!

 

ルーバーが取り付けられたら次はキッチンの組み立てを。

 

 

 

 

 

バラバラのパーツを現場でどんどん組み立てていきます。

ビシッと納まりそうで一安心。

今回は床の色に合わせてチェリー材を採用しました。

今は少し色が薄めだけど、経年変化で飴色になるともっと色が揃うはず。

 

2日間の大掛かりな家具取付も終わったら、最後は一気に仕上作業に入ります。

 

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2023/11

Ⅵ.完成

 

今回も撮影スタッフが素敵に撮ってくれました!

 

▲玄関。視界が抜けて空間が広く見えます


▲玄関横の土間スペース。収納兼ワークスペース

 

▲ご主人様拘りのステンレスキッチン

カウンターも作業台の一部として使えて便利です

 

▲全景;大きな窓際にヌックを配置

右手のスペースは寝室。カーテンで仕切ります

 

▲自然光で

素材に拘った甲斐あって、シンプルでも味があります

 

▲パースと同じカット

 

窓が多い角部屋のポテンシャルを最大限生かしたレイアウトのおかげで、どこにいても明るい!

シンプルながらも広い土間スペースや回遊できるキッチンスペース等、K様ならではの拘りが詰まった、お客様「らしい」住まいになりました。

K様楽しいお住まいづくりに携わらせて頂きありがとうございました!

次回のご訪問が楽しみです!

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