現場日記:S様邸【完結】8/9更新
【物件データ】
■所在地 :仙台市青葉区
■種別 :マンション
■専有面積:73.86㎡
■建築年:1975年
こんにちは!
設計の菅野です。
今回はよくある長方形の間取りではなく、↓の様な面白い形状の物件。
同じ棟の他のお部屋もこの様な形をしており外部に面している壁が多いので、窓が多くて明るい!
㎡数だけ聞くと70㎡ちょっとと、2人~4人で済むには丁度良い広さなのですが、
↑特殊な形状の為、間取りも制限が多くなかなか難度が高い物件。
二つの箱を分断せずに上手く繋がりを持たせられれば上手く空間に広がりが出そうです。
因みにこちらが初回プレゼン時のプラン↓
スタート時はいつでも自由に使える土間スペースをLDK側に取り込んでいました。
広い土間スペースと共に収納スペースをしっかり確保したいというご要望もあり、
最終的には土間を玄関の延長スペースにし、しっかり土間収納も確保できる様になりました。
今回S様が作ってこられた資料や、持ってきて下さる雑誌の写真も私自身の好みの物が多く、
楽しく打ち合わせさせて頂きました。
今から仕上がりが楽しみです!
▲イメージ写真と一緒に、どこが好きか・何を置きたいかなど丁寧にまとめて頂いていて
とても分かりやすい!何かあれば見返しながらプランしていきました
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【before】
解体前の様子。
▲大梁が部屋の真ん中を横断
▲お風呂廻りの段差が凄い!床下が気になります…
▲昔ながらのコンパクトなLDK
▲キッチンの脇から奥の部屋が見えます。ドアを開けていると明るい!
玄関に入ってひとつめの「箱」はLDKと水廻り。
水廻りがかなりコンパクトにまとまっています。
そしてお風呂とトイレの段差が凄い!
床下が一体どうなっているのか、物凄く気になります・・・
キッチンの脇から奥へ抜けて入る2つ目の「箱」は個室が2つ。
部屋の変わった形状も、細かく部屋が区切られていると至って普通の間取りです。
今回はかなりの築古物件で色々見えない所が多かったので、早めに解体を行いました。
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2022/3/14~
Ⅰ.解体着工
今回はプランを進めながら同時進行での現場解体。
初日からあれよあれよという間に壊されていきます。
▲両側からバリバリっとぼーどめくり
▲あっという間にこの状態に
解体後↓
▲部屋の中から何とガスメーターが出てきました
ユニットバスの足元に転がるガス管
▲排気ダクト廻り。ユニットバス裏に点検口が隠れてました
▲クロスが何層にもなった壁。古い壁画の様にも見えます 笑
ユニットバスとトイレの段差が凄かったのは、足元に転がっているガス管をかわす為だった様で・・・
新しいマンションではまず無いガスメーターや大梁と横断する小梁の出現で、今回はプランを再調整する事に。
ここから本工事までの半月間でしっかり方向転換しつつ、断熱材を吹き付ける為の段取りをしていきます。
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2022/4/7
Ⅱ.ウレタン吹付断熱工事
本工事に入る前にまず断熱拭き。
断熱を吹き付ける機械はいくつかあるのですが、
今回はタンクを積んだトラックを敷地に横付けできない為、
断熱材の原液が入ったタンクと発動機を使って吹き付ける方法をとりました。
▲断熱材が入ったタンク。これを一軒で何本も使います。
▲吹き付ける為のホース車。発動機はベランダに設置
▲部屋に運ぶのも一苦労
準備が出来たら吹かない場所をしっかり養生していざ吹き付け。
吹き出すとあっという間にぶくぶく膨れてきます。
いつも基準にしている30㎜を吹くのに同じ場所を2回位重ね吹き。
吹き付け終わったら、でっぱりを削って養生を剥がして終了。
綺麗な仕上がりです。
これで本工事前の下準備が完了。
これから本工事のスタートです。
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2022/4/18~
Ⅲ.配管工事
断熱が吹き終わった所でいよいよ本工事スタート。
部屋全体のスミダシ(間取りを土間に転記していく作業)が終わったら、先ずは湯・水・ガスの配管を転がしていきます。
今回排水の大元はユニットバスが設置されていた背面の奥。(↓青の斜線部)
全ての排水が壁の裏にある背面の竪管に流れる様になっているので、新しい配管もそちらへ繋いでいきます。
今回はガスの引込管も宅内に転がっている特殊な配管。
(ガスメーターが宅内にある物件を工事するのは、私は初めてです)
メーターは移設の為外してますが、メーターより前の配管はそのまま使用しないといけないので
残します。
ガス管の取り出し位置の高さで今回はユニットバスの仕上がり高さが決まります。
今回もう一つ特殊なのが、給水管がメーターより引き直されている事。
古い物件で配管がそのままだと漏水やら赤錆が出る心配があるのですが、これなら安心。
折角工事をするので、全て隠蔽していきます。
改装前の給湯器はFF式(屋内設置)でしたが、承諾を得られたので屋外へ。
ガス管、追い炊き配管、給水給湯管を配管。
今回は壁際にガスファンヒーター用(菅野一押し)のガスコック用のガス管も↓
今回はキッチンの排気も排水の竪管と同じシャフト内へ入る形式。
配管をやり直していきます。
▲浴室/脱衣室/トイレ排気用ダクト
▲上のダクトがキッチン用/下のダクトは浴室側からトイレへ
今回は低い梁が至る所にあるので、ダクト配管が大変。
元々あった水廻りスペースはかなり狭く、広げる為には少しレイアウトに工夫が必要。
排水の距離も少し遠い為、どうした方が水が流れやすいかなど、今回は現場で何度も打ち合わせしました。(排水の高さによって部屋全体の床を組む高さも決まってくる為)
粗方の配管が終わると高さ関係も決まってくるので、ここから大工工事本番です。
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2022/4/18~
Ⅳ.下地工事スタート
スミダシと配管が終わると一気に進む下地の工事。
配管工事と同時にスタートです。
今回は天井・壁の下地を組んでから床組という流れで進めていきます。
下地を組みだすと早い早い。
一気に進んでいきます。
下地を組んでいる間にユニットバスも設置。
今回は排気ダクトの高さやら、ガス管やら色々収まりがシビア。
現場で、「あと〇〇mm欲しいので寄せて設置して下さい!こっちも△△mm欲しいので取れますか?」だと張り付きながら指示していきます。
浴室床の位置が決まるまでドキドキです。
▲なんとかいい位置に収まりそうで一安心。後はいつも通りよろしくお願いします!
壁・天井の下地もどんどん出来きあがっていきます。
もうすぐで下地組も完成!
ここまで来るのに大体2週間位。
壁・天井の下地が終わったら次は床組。
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2022/5/13~
Ⅴ.床下地~内装下地仕上
GWも開け、本格的に工事を進めていきます。
壁の粗方骨組みをしたら次は床上げ工事。
遮音のゴムが付いた束(脚)を建て、ボードを貼り…
床下地のボード施工。
この上にフロアーを張っていきます。
やってるやってる。
邪魔にならない様にと思いつつ、どれどれと除きます 笑
お、
いい感じ!
足触り良さそう~!
無垢材大好き菅野は、床張の時覗くのが好きだったりします 笑
今回は全部屋オーク材ですが、LDKは幅広・寝室は90巾と張り分けています。
次はボード張。
と、その前にコーナーのR壁が取り付けてある!
(パースの壁出隅部分)
今回は裏側は玄関土間から使える収納に。
固定の棚板も丁寧に丸く切ってあります。
仕上がりが楽しみ。
その他、下地のプラスターボードを貼るタイミングで埋め込む物を取り付けていきます。
カーテンレール用化粧梁
リビングボード
その他、下地補強なども行い、ボード張完成です。
ここから塗装→内装仕上げへ入っていきます。
今回家具や建具の一部は、お客様購入予定のダイニングテーブルの色に合わせて。
実物サンプルを見ながら色を合わせていきます。
少し色が入って落ち着きました。
塗装が終わると次はクロスやビニル系床の仕上げ。
先ずは下地を綺麗にする為のパテ処理。
下処理が終わると一気に貼っていきます。
生成のクロスがベースが爽やかでよさげ!
キッチンに立ってやっと見える木目調クロスの天井もちょっとした拘り。
濃い色の壁も引き締まって見えていい感じです。
内装仕上げが終われば、キッチン施工や諸々の仕上げ、
建具や家具を取り付けていきます。
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2022/7/3~
Ⅵ.キッチン施工~
今回のキッチンはお客様こだわり、サンワカンパニーのオールステンレスキッチン!
組み立てが完成していないのに既にかっこいい・・・!
幅は2400
背面にもしっかり収納が付いていて、キッチン廻りだけでもしっかり物が仕舞えそうです。
キッチン仕上がりは完成写真でのお楽しみという事で、
家具屋さんで作って貰っている家具の色合わせもあったので、車を飛ばして秋保へ。
今回制作をお願いしたのが、秋保にあるクラスコファニチャーさん。
天然木や突板(木をスライスした物)の家具製作が得意な家具屋さんで、いつも綺麗に作ってくれています。
今回依頼していたのがキッチン背面カウンター収納↓
こんな感じのバラバラパーツを現地で組み立てていきます。
完成形ではないけど、綺麗に出来上がっていてよい感じです!
後は塗装の色合わせ。
きちんといい色が出るのかドキドキ…
今回リビングのメインドアもクラスコさんで造作。
塗装屋さんが工場で塗り塗り…
木目を生かした青いドア、かっこいいなあ!
少しレトロな雰囲気もあって、部屋の顔になりそうです。
どれも現場で取り付けるのが楽しみ!
続きます。
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今回お客様のご厚意で、7月23日(土)/24日(日)とオープンハウスをさせて頂く事になりました。
・無垢(一枚板)の床
・オールステンレスのキッチン
・お住まいに合わせた造作家具
etc...
シンプルながらも見処が沢山ございますので、是非お越しください!
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2022/7/12~
Ⅶ.仕上工事~完成
キッチン施工が終わると仕上工事。
設備の接続をしたり、照明器具や棚を設置したりと大詰めです。
今回家具の取付も内装が全て仕上がってから行いました。
先日、工場で塗装をした家具達↓
レーザーを当てて水平を測り取付。
電気の配線も通さなければならないので3人がかりで取り付けです。
そんなこんなで細かい仕上作業を終えて完成です!
今回も営業スタッフ鈴木が綺麗に写真を撮ってくれました。
撮影用の照明やフェイクグリーンを少し入れて写真をパシャリ。
パースに近いカット↓
LDKの反対側↓
全体的にはナチュラルなかわいいテイストですが、ステンレスのキッチンや、渋めのアクセントカラーで、甘すぎない大人ナチュラルな空間に仕上がりました!
オープンハウスでは、ポイントポイントで取り入れた真鍮パーツも評判だったとの事。
こちらもいいアクセントになっています。
綺麗に撮って貰った写真は、後日事例ページにアップされるまでのお楽しみにして頂き、
私の携帯写真でほんの少しだけご紹介いたします。
先ずは玄関から↓
S様が選ばれたモルタル調のタイルとクロスがとても素敵に仕上がりました。
ポイントで選んで頂いた照明器具もいい感じです。
玄関框の近くに作ったこの不思議スペース↓
実は…
サンダル置場でした。
(私の靴で失礼いたします)
靴が仕舞ってある土間スペースに行く為のサンダル置場を設けました。
今回はしっかり奥のスペースに靴を仕舞いたいとの事で、玄関の上がり框付近に靴置場を設けなかった為、この様なちょっとしたスペースを設けさせて頂きました。
次はキッチンスペース
S様拘りのステンレスキッチンと、ナチュラルな背面収納がいい感じです!
天井の木目調クロスもしっかり廻りに馴染んで一安心。
(このクロス、本物の木だと思ったスタッフ多数のリアルさです)
棚下のダウンライトが付くと、ぐっと雰囲気が出ます。
計画当初からオープン棚を付けたい!とおしゃっていたS様。
物が入るとどんな感じになるのか、想像しただけでワクワクします!
カウンター収納の手掛けは敢えて金物を付けない加工に。
綺麗に仕上がりました!
計画当初からご要望がルーバー扉。
ご選定頂いた真鍮取っ手も付いていい感じに。
うーん、かわいい!
今回真鍮パーツを色々な所に採用しています。
▲玄関のコート掛
▲玄関から見えるちょこっとしたスイッチも真鍮に
真鍮は最初こそピカピカはしていますが、時が経つにつれ味わいが増す素材。
S様のお住まいが真鍮の様に暮らしに馴染んで素敵になる事を願っております!