現場日記:Y様邸【完結】4月19日更新
【物件データ】
■所在地 :仙台市太白区
■種別 :マンション
■専有面積:62.8㎡
■建築年:1994年
こんにちわ!
設計の菅野です。
今回はご自宅でお食事やお酒を楽しむのが大好きなご夫婦の拘りリノベーション。
初回ヒアリングの時に
「リビングのソファーよりダイニングテーブルで過ごす事の方が多いんですよね」
「キッチンに拘りたいんです。形は対面型でクリナップさんのステンレスキャビネットが良くって、食洗器はボッシュがよくって・・・」
と、真っ先にキッチン・ダイニング廻りの事をお話をしてくださったY様
事前に設備なども下調べをしっかりされており、やりたい事やお好みがはっきりされていたので
出来る限りご意向に沿いながら、間取りのご提案・諸々ご選定をサポートさせて頂きました。
▲打ち合わせ風景
数年前に弊社が販売していたモデルルームをとても気にいってくださったのがきっかけで、今回問い合わせして下さったY様。
今回は物件探しからリノベーションまでワンストップでお手伝いさせて頂く事になりました。
私が入社して初めて見たN’sの施工物件も上記のモデルルームでして、
そのお話をお聞きした時
「私もこんな格好いい住まいを作りたい!」
なんて思った当時の記憶が蘇りました。
今回も素敵な住まいに仕上げるぞ!
という事で工事ブログスタートです。
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【before】
解体前の様子。
よくある長細い中住戸の3LDK。
キッチンは対面式ですが、吊戸棚もあり閉鎖的で孤立した空間でした。
始めて現地を見させて頂いた際、驚いたのが北側2部屋のカビと結露。
築年数の割に内装材めくれと壁がカビが凄い。
今まで家具や物が壁際までしっかり置かれていたり、暖房をガンガン使用していたりしたのかな?
(エアコンが無い部屋です。↑が一番多いカビが生える原因だったりします。)
サッシの結露が原因じゃないかと推測はするものの、現状だと壁裏の状態も分からない為、解体して中の状態をしっかり確認しなくては!
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2023/12月下旬~
Ⅰ.アスベスト調査~解体
いつもブログでは解体工事から掲載していますが、
今回はアスベスト調査についても少しお話させて頂きます。
アスベスト調査は2023年10月より有資格者による事前調査・分析が義務化されました。
基本的には設計図書等を用いた「書面調査」と現地で確認を行う「目視調査」の2つの調査の2つ。
解体前の調査なので、このように石膏ボードを捲って裏面の品番を確認していきます↓
どきどきどきどき・・・・
「今回はアスベスト該当品番じゃなさそうですね」
よかったーー!
ほっと一安心です。
石膏ボードは製造年月日や製造工場により、アスベストの他ヒ素入りボードなど、
リサイクルできないボードが出てくる事もあり、解体費用(正確には処分費用)に少なからず影響してくるので、出来れば毎回早めに調査をしたい所です。
壁や天井以外の所も細かく調査↓
キッチンのキャビネットやユニットバスのバスパネルなどにも含まれている事があるので、
メーカー等情報を記録し、後日メーカーに問い合わせます。
上記以外にも、キッチンの床に使用されているクッションフロアやビニール巾木など、〇〇年以前の製品など、築年数などで判断できる所は、「みなし」としてチェックしていきます。
今回はユニットバスの壁にもアスベストが入っている事が分かりました。
情報を解体業者さんに伝えねば。
調査が終わったら、いよいよ解体作業に入っていきます。
解体前から気になっていた北側の壁ですが・・・
ボード下(断熱表面)は綺麗でした!(カビは見当たりません)
しかし、サッシの結露は相変わらず酷い。
空調をしていない工事中でも窓の結露が酷いので、やはりカビの原因は結露の様です。
壁の断熱と窓の所で結露対策すれば、100%とはいかずとも幾らか良くなりそうです。
改修前の給水管・給湯管・ガス管↓
銅管と鉄管が使用されています。
金属管は古くなると穴が開いて漏水しやすいので、ギリギリの所で切断し樹脂の物に取り替えます。
今回はリノベーションなのである程度入れ替えが出来るのですが、リフォームの場合はどこまで入れ替えるか慎重に検討した方がいい配管です。
築浅物件だとほぼ樹脂管なのですが、今回位の築年数だと要注意です。
話は戻り、解体が完了しました!
※解体検査後の写真なので、テープで大まかな壁の位置出しをしています
問題の北側窓廻り↓
後日、断熱も削りました↓
躯体(コンクリート壁)はカビも無く綺麗な状態でした。
今回解体前の状態が酷かったので、断熱材は全て捲り再施工した後、本工事スタートです。
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2023/1月下旬~
Ⅱ.下地工事開始
お正月が開けから本格的に工事がスタート。
毎度ですが、まずは断熱材を施工していきます。
今回はボード系断熱断熱材を使用。
立地上、ウレタンの断熱吹付が出来ない時はこちらの断熱材を使用しています↓
ボード系断熱材は、カット・接着・取り合い処理と、手間は掛かるのですが
工場製品なので製品として安定している所がメリット。
今回も大工さんが頑張って貼ってくれました。
断熱材を貼り終わると壁の位置を決める墨出しをし、壁を建てていきます。
まずは外周部から・・・
間仕切り壁を建てる位置に上下の受けを取り付けていきます。
壁の下地自体は木ですが、天井と床に取り付けた受けは軽量鉄骨。
今回は水廻りが寝室に近い為、壁の厚みをしっかりとって吸音材を入れる為、通常より幅が広い物を施工しています。
余談ですが、壁が木下地の時に大工さん達が作る仮置き棚をちょっとだけ・・・↓
これが出来ると本格的に工事が始まったんだなあと、私も気合が入ります。
余談はさておき、壁の墨出しが終わったら、大工さんと並行して作業に入る設備屋さん。
給排水やガス管を配管していきます。
N'sは基本的に壁の下地を建ててから床を組むので、並行しての作業になる事が殆ど。
今回は洗面化粧台や洗濯機置場も大幅に移動、ユニットバスもサイズアップする為に梁を跨いで移設と、それぞれの取り合いがシビアな為、慎重に打ち合わせを重ねた上で配管して貰います。
私「排水の距離からして洗面脱衣室は床の段差作るしかないですよね・・・?」
設備屋さんと大工さん「・・・今回、段差無しで何とか納まるよ!いける!」
私「本当に!?」
今回はキッチンの天井高も排気ダクトの関係やら高さに関しては諸々シビアだったのですが、
全てが良い方向で納められるとの事。
今回施工された配管類↓
元々の配管が耐火素材の物を使用していた為、基本は耐火の配管を使用。
今回食洗器が海外製の物なので、一部は高温に耐えられる材質の物に。
食洗器に関してはメーカー規格外の物なので、それぞれのメーカーさんを呼んで現地での確認してもらいました。
キッチンメーカーさんにも食洗器メーカーさんにも「大丈夫ですよ」の一言をもらってホッと一安心。
配管が無事終わると次は床を組んでいきます。
今回は大工さんが一人じゃないので、凄いスピードで進んでいきます。
床下には反響音を防ぐ為、お馴染みの吸音材グラスウールを入れてもらいました。
今回大幅に移動した洗面廻りは↓の様に床下全体にグラスウールを敷き詰め遮音マットの敷き込み(黒色のマット)
下階の方の間取りは恐らく洋室なので、少しでも音が軽減する様、少し対策させて頂きました。
今回の様に、水廻りを大きく移動する場合は、この辺りのご提案+洗濯機の脚の下に吸音ゴムを敷くなどの対策をお勧めしています。
配管や床上げが終わるとユニットバスの組み立て↓
今回は同時に排気ダクトの配管も↓
今回ネックだったLDKのど真ん中を横断する排気ダクト↑は天井高をしっかり確保する為に、スレスレの所を頑張って配管してもらいました。
この辺りまで来るとほぼ全ての納まり打ち合わせが終わった様な物なのでほっと一安心です。
ここからどんどん仕上げていきます。
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2023/2月上旬~
Ⅲ.下地完成~仕上工事~キッチン設置
ユニットバスが終わったら、一気に下地を進めていきます。
下地が粗方組みあがると、ボード貼開始↓
ボード貼り完成↓
ここまでの作業で約1か月。長かった!
工事期間の半分は大工さんの作業だったりします。
今回はボードを全て仕上げてからの床施工。
使用する床材はオークの積層フローリングで表面に約3㎜の無垢材を貼り付けたもの。
無垢の質感も有りつつ、狂いの少ないいいとこ取りの商品です。
一枚もののフローリングと比べて製材されているせいか、節が少ないのが特徴。
綺麗に仕上げたい方にはお勧めの商品です。
今回は乱尺といって、長さが数種類混ざった商品の為、施工前に仕分けます。
色むらだけでなく、長さの違いも偏りを防ぐ為に先に枚数を確認。
仕分けが終わったら、フローリングの割付を確認。
割付が決まったら後は仕上がりを待つのみです。
今回は同時に塩ビタイルを施工。
グレーに白目地素敵です。
仕上がりが楽しみです!
床材が仕上がると、今度はクロス工事。
と、今回は先行してキッチンの設置も行います。
クロス工事はまずはパテ処理。
キッチン屋さんの邪魔にならない様に気を付けながら作業して貰います。
続いては今回の工事のメインと言っていいキッチンの設置工事。
1日目:キッチン組み立て
2日目:食洗器設置
3日目:キッチン仕上
と、なんと3日掛かりの工事です。
食洗機がメーカー規格外の海外製品。
私自身規格外の商品を納めた事が無い為、仕上がりが少しドキドキです。
1日目はキッチンの本体設置工事。
天板がエレベーターに入らなかったりと、搬入が大掛かりでしたが
何とか無事納まりました。
2日目。
いよいよ食洗器の取り付けです。
こちらが今回採用した海外製のフロントオープン食洗器。
メーカー指定の商品でないと、食洗器の固定方法が異なるそうで、
職人さんもひとつひとつ確認しながらの作業になりました。
無事納まりました!
3日目はキッチン本体の細かい調整作業と仕上げ作業。
食洗機の足元の収まりは少し変則的ですが、何とか綺麗に収まりました。
にしても、ステンレス天板とダークな色の扉を組み合わせた今回のキッチン。
とても恰好よく仕上がりました!
キッチン工事も終わると、クロス工事も追い込みです。
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2023/2月下旬~
Ⅳ.内装仕上~最終仕上
クロスの施工が無事終わりました!
今回はベースの色がスカッと爽やかな白なので、とても明るくて気持ちがいい!
アクセントクロスとのコントラストがとても綺麗です。
クロスの施工が終わると今度はタイルを施工していきます。
今回、玄関土間はタイルを半分づつずらして貼る馬張りという張り方で。
立ち上がりもタイルなので、どこに目地を合わせるかを綿密に打ち合わせて施工スタートです。
2日目↓
ドキドキしながら現場に向かいましたが、綺麗に張れていて一安心。
2日目は目地詰め作業です。
余談ですが、ここ数年、玄関廻りはモルタルやモルタル調の仕上げを希望される方が多いのですが、
どうしてもひび割れや欠けが付き物。(早いと1か月位で細いヒビが入ります)
ずっと綺麗に保ちたい方には、この様なモルタル調タイルを私はお勧めしています。
余談が長くなりました。
内装仕上まで終わると、電気関係や設備関係の仕上と共に、怒涛の造作物仕上です。
家具屋さんと大工さんが頑張って仕上げてくれています。
お互いやれる所から、何日間にも渡り工事。
私達も立ち合いながら細かく指示していきます。
こちらは寝室の間仕切になるバーチカルブラインドを取付。
「バーチカルにして色もミックスにしたいんです!」とY様よりご要望があり、
どんな感じに仕上がるのか、かなり楽しみにしておりました。
ドキドキわくわく作業を見守ります。
色もミックスの為、イメージ図を元に順番を確認しながら吊ってもらいます。
ちなみに、バーチカルブラインドって構造が複雑でお手入れ大変なのでは・・・
とよく聞かれるのですが、実は構造はとてもシンプル。
上はレールのフックにひっかけ、下は紐でつなぐだけ。
外して洗えるので、シェードやロールスクリーンよりお手入れ(特に復旧)は簡単なんじゃないかと思います。
ブラインドも吊れました!
家具取付も、もう少しで完成。
家具の工事が終わればいよいよ完成です!
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2023/4月上旬~
Ⅴ.完成
今回も撮影スタッフが綺麗に写真を撮ってくれたので、少しだけお披露目します!
先ずはLDK。
Y様こだわりのステンレスキッチン、とても恰好いい!
間取りを少し解説すると、ブラインドの奥のニッチがあるスペースが寝室。
さらに寝室の奥がウォークインクローゼット。
キッチン奥がパントリー。
壁や建具を作らない事で、視覚的に広がりを持たせられました。
今回はしっかり断熱材も入れさせて頂いているので、
この畳数でもエアコン1台でしっかり賄える筈。
キッチンの背面もウォークインクローゼットもパントリーも大容量なので
しっかり各所に物が仕舞えそうです!
ちなみにブラインドを閉めた状態がこんな感じ↓
4色ミックスのブラインド、色がランダムで動きが出て素敵です。
羽を90度回転して、ゆるやかに仕切るのも素敵かもしれません。
そして今回、奥行のある出窓にもフローリングを張っています。
高さは椅子と比べると少し高いですが、私の身長(160㎝)でも座るには支障のない高さなので
来客時のベンチとしても使えるんじゃないかと思います。
今回ソファーは置かないとの事だったので、ヌックの様な寛ぎスペースとして使って貰ってもいいかも?なんて思いもあり、ご提案させて頂きました。
次はエントランス廻り。
土間スペースが靴を脱ぐスペースから少し離れている為、玄関にも靴置場を設置。
収納スペースをたっぷり取っているので、土間収納と上手く使い分けして頂けると色々な物が仕舞えそうです。
お好きな色味の内装と必要な所に必要なボリュームでの収納計画で、Y様らしく仕上がったお住まい。
長く愛着を持って住んで頂けますように!と、スタッフ一同願いを込めつつブログを〆させていただきます。
お打ち合わせも工事も楽しく携わらせていただきました!
Y様本当にありがとうございました!