東日本大震災の時はどうだった?「旧耐震」「新耐震」の耐震性はどれほど違う?
みなさん、こんにちは。
リノベーションコンサルタントの濱端です。
先週から引き続き『リノベ会社で働く私が「旧耐震」の中古マンションを選んだ理由』の続きをお話いたします。
前回は「旧耐震」の建物と「新耐震」の建物の築年数の違いをお伝えしましたが、今回はそれぞれの耐震性についてです。耐震性という観点から、私が「旧耐震」の建物を選んだ理由をお伝えします。
「旧耐震の建物って実際はどうなの??」
「本当に旧耐震の建物は地震に弱いのかな??」
など、
みなさんにとって、耐震性は最も気になるポイントの1つではないでしょうか?
「旧耐震」の建物が本当に地震に弱いかということについて、2011年の東日本大震災の際のデータを用いてご説明させていただきます。
建物それぞれの被害状況は以下のとおりです。(2012/5/8 東京カンテイプレスリリースを参照)
被害を大きさ別に「被害なし」「軽微」「小破」「中破」「大破」の5ランクに分け、
マンションごとに分類すると、、、
宮城県の分譲マンション全1460棟(新耐震1233、旧耐震227)
「被害なし」・・・738棟(新耐震630、旧耐震108)
「軽微」・・・・・531棟(新耐震456、旧耐震75)
「小破」・・・・・175棟(新耐震135、旧耐震40)
「中破」・・・・・15棟(新耐震12、旧耐震3)
「大破」・・・・・1棟(新耐震0、旧耐震1)
確かに「大破」の1棟は「旧耐震の建物」で地震の被害を修繕できず、取り壊しを余儀なくされましたが、他の被害ランクは「新耐震」「旧耐震」問わず一定割合にそれぞれ分布しています。
非耐力壁に「×」字のひび割れ、鉄筋がむき出しとなり「中破」判定となったマンションに着目すると15棟あったうち、12棟が実は「新耐震」のマンションだったのです。
特に青葉区に限っては「旧耐震」でも「大破」「中破」は0棟でした‼(「新耐震」は2棟)
みなさんが抱いていた印象と比較していかがですか?
震災直後、
「築浅の新耐震の建物でも、すごい壊れたっぽい。。」
「旧耐震の建物なのに、ほとんど損傷がなかったみたい。。」
というイメージをお持ちのお客さまがいらっしゃいましたが、あながち間違いではなかったのです。
さらに震度6強を記録した青葉区、若林区、泉区での被災状況を見てみるとエリアごとに違いが現れていました。青葉区と若林区では「被害なし」がともに50%を超えているのに対し、泉区では35.3%という低い値となり、「小破」「中破」もほかの2地域と比べて高くなっていました。
また、太白区は震度5強でしたが、被災状況は震度6強の若林区よりも被害が出てしまいました。
つまり、東日本大震災の結果を見ると「新耐震」と「旧耐震」の耐震性能の違いよりも、地盤や土地の形状などが被害の度合いを決定づけると言えます。
この結果から、漠然と「旧耐震 = 地震に弱い」、「新耐震 = 地震に強い」と思い込んでしまうことが、いかに危険であるかが分かったと思います。
むしろ、「旧耐震」の建物は「新耐震」の建物と比較しても、地震被害において遜色がなかったのです。
物件を選ぶ時には、「旧耐震」「新耐震」の違いに目を向けるよりも、その物件の地盤を意識することが重要と言えます。
リノベ会社で働く私が「旧耐震」の中古マンションを選んだ理由が、少しは伝わりましたか?
今回はここまで。
次回は、「旧耐震の建物を実際購入する時に税制優遇など不利になると聞いたけど実際にはどうなの?」というお声にお応えします。
引き続き、私が「旧耐震」の中古マンションを選んだ理由を掘り下げていきます。
■ リノベ会社で働く私が「旧耐震」の中古マンションを選んだ理由シリーズ
1.『リノベ会社で働く私が「旧耐震」の中古マンションを選んだ理由』
2.『東日本大震災の時はどうだった?「旧耐震」「新耐震」の耐震性はどれほど違う?』
3.『不動産購入に関わる税金』