リノベーションという住宅の選択肢 ~地球環境を考慮した選択~

ここ数年で「サステナブル(持続可能な)」というワードが、「SDGs“エスディージーズ”」をきっかけに私たちの暮らしにすっかり定着しました。
たとえば、「サステナブルな社会を目指す」は「地球の環境を破壊せず、ずっと豊かで平和な生活が持続可能な社会を目指す」という意味。

 

みなさんは、物を捨てることに罪悪感はありませんか?
まだ使える物なら修理してもう一度使う、リサイクルに出すなど、捨てる以外の選択肢を選ぶ人が増えてきました。“衣食住”の“衣”では古着売買をはじめ環境負荷の少ない素材を選ぶことなどが挙げられ、“食”では地産地消、フードロスの削減、フェアトレードなどがあります。

 

では、このような循環型社会において“住”にはどのような取り組みがあるでしょうか?
そのひとつにリノベーションという住宅購入の選択肢があります。「今ある資源を繰り返し利用すること」「古い住宅を現代の施工技術を駆使して環境に配慮した省エネルギー住宅に作り替えること」など、社会全体が「無駄を省いて今あるものでシンプルに暮らす」という価値観に移行しつつある中で、住まい手と社会の未来にとってベストな在り方を可能にするのがリノベーションです。

 

 

本コラムでは、日本の住宅事情のこれまでとこれから、住まい選びの新しい価値観を見ていきましょう。

 

 

 

 

1.日本の住宅は「ストック型」へ

 

 

脱スクラップアンドビルド社会

国土交通省の発表によると、過去に建設され今も存在している住宅が約6,200万戸あり、このような物件のことを「住宅ストック」と言います。この住宅ストック数は現在、日本の総世帯数約5,400万世帯に対して約16%多く、数字の上ではすでに住宅は社会に十分足りている状態であることが分かります。
それでも毎年900万戸以上の新築住宅が建設されているのが現状です。さらに、建設・使用・廃棄の過程ではエネルギーや資源が大量に消費されます。CO2をはじめとする温室効果ガスの排出にもつながり、廃棄物処理のゴミ問題など環境への大きな負荷が指摘されています。

 

 

2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、「カーボンニュートラル(脱炭素)」を目指すことを宣言しました。
「排出を全体としてゼロ」というのは、人が生み出す温室効果ガスの「排出量」と「吸収量・除去量」を均衡させ、差し引きの合計を実質的にゼロにすることを意味しています。カーボンニュートラルの達成のためには、温室効果ガスの排出量の削減 並びに 吸収作用の保全及び強化が必要です。
ここ数年の温室効果ガスの発生状況を調べてみると、建築分野のCO2排出量の割合は全体に比べて高く、約30%前後で推移しています。この上昇を低減させるため脱スクラップアンドビルド社会を築いていかなければいけません。同時に、環境に配慮した暮らしのため、「住宅の省エネルギー化」が国として進める最重要課題のひとつとして、「ZEH(ゼッチ)」「省エネ住宅」といった取り組みが進められています。

 

「住宅ストック」は資産である

「ストック型社会」とは、価値あるものをつくり、長く大切に使う社会のこと。
地球環境に優しい、持続可能な社会のことです。住宅のストックを有効利用して、「ストック型」に移行することは環境にとって大きなメリットがあります。つまり築年数がそれなりに経過している中古物件であっても、リノベーション・リフォームによってさらに長く快適に住めるものとするなら、家屋の解体・新築の件数は減り、それらの工程で排出されていた温室効果ガスも大きく削減することが期待できます。

 

特に中古物件のリノベーションは、「住宅ストック」という貴重な資産を有効に活用しつつ、エネルギーを無駄に消費せず長く住み続けられるお住まいを手に入れることができ、住み手にも環境にもよい選択肢と言えるでしょう。

 

 

2.サステナブルとリノベーションの関係

持続可能な開発目標「SDGs」とは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残さないことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル<普遍的>なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。

 

 

リノベーションはSDGsが目指す目標のうち「住み続けられるまちづくりを」や、「つくる責任、つかう責任」に合致しているのでSDGsやサステナブルに貢献できる活動のひとつと言えます。
中古住宅を活用するリノベーションは、環境への負荷が少ないことも大きな特徴です。CO2排出量は、新築立替工事と比べるとプロジェクトによっても異なりますが、76%削減するケースもあるようです。出てくる廃棄物の量も減り、資源の節約に貢献します。リノベーションという選択肢は新築よりも環境に優しく、これからの次世代、未来を見据えた選択肢なのです。

 

 

3.地球環境にも優しい選択を

地球環境のためにできること

繰り返しになりますが、中古物件+リノベーションは住み手の住み心地の良さを実現するだけでなく、温室効果ガスを排出せず、環境に良いことが分かっています。
さらに住宅の省エネルギー化という観点でリノベーション業界に目を向けてみても、新築と同様に省エネルギー化に着目して、住宅性能を向上させる事を基本に、設計・施工することが一般化しています。
ここではそれらの取り組み例の一部を紹介します。

 

 

断熱・遮熱性能の向上

古い住宅では、気密性が低く暖房や冷房が効きにくい物件が多くみられます。
フルスケルトンリノベーションの場合、一から断熱材を吹き付ける施工を行い、さらに二重サッシを採用することで、冷暖房が必要な時期にも大きな省エネになります。二重サッシにすることで断熱効果を高められ、エアコンの効率アップへと繋がります。

 

 

照明器具の見直し

LEDは、消費電力が蛍光灯の約1/3、白熱電球の約1/5で、寿命は蛍光灯の約5〜10倍、白熱電球の約30〜50倍程度の長寿命という優秀な省エネ性能を誇ります。
デザイン性も高くバリエーションも豊富なため、リノベーションでも積極的に採用されています。
また、リノベーションでは室内窓などを採用して、外の光を室内に届ける工夫もできるため、日中なのにお部屋が暗い……ということも避けられます。建具なども含めて、全体の照明計画を見直せるのもリノベーションの魅力です。

 

環境負荷の少ない設備を

断熱性や遮蔽性を高める以外に、高効率の設備などを導入することでも省エネ対策ができます。
断熱性能を備えた「断熱浴槽」や、1回の水量を大幅に抑えた「節水トイレ」の設置など効率的な設備機器を導入することで省エネ対策になります。

 

 

このように省エネルギー化に着目して住宅性能を向上させることで、住み心地の良さにもつながります。実際にリノベーションして住んでいる方からは、「夏は涼しく冬は暖かく過ごせるので、とっても快適です」「断熱すると夏場は熱がこもってしまわないかと心配でしたが、冷房もすごく効きがよくなりました」「二重サッシにしたおかげで、寒さ暑さが和らいだだけでなく、外の音が聞こえにくくなったのもよかったです」「光熱費が節約できて家計にもやさしいので、いいことずくめです」など、嬉しい声が寄せられています。

 

 

 

4.中古住宅を自分に合った住まいに再生

 

 

リノベーションの良さ

中古住宅+フルリノベーションでは、住戸内をすべて解体・撤去しコンクリートの箱だけの状態(スケルトン)から完全自由設計で空間を作り上げることが可能。キッチンや水まわりも移動することができ、設備や素材一つ一つにこだわりながら担当設計士と共に世界にひとつだけの家を作ることができます。

 

間取り

例えば、「テレワーク用のワークスペースが欲しい」「夫婦で料理したいからアイランドキッチンに」「2匹の猫にも合わせた快適な空間に」「ブックカフェのように本を中心とした住まいがいい」というように、それぞれの理想の暮らしを探るところからリノベーションはスタートします。

 

立地・費用

住みたいエリアが人気エリアの場合、新築物件を予算内で探すのはかなり難しく価格も高騰している傾向にあります。しかし、中古なら条件に合う物件に出会えることが多いのが現状です。同エリア・同面積の新築物件と比較するとリーズナブル。中にはリノベーション費用を含めても1,000万円以上の差がある場合も。

 

まとめ

中古住宅は資源であり、環境変化に伴い使いこなす時代に突入しました。価値観やライフスタイルが多様化する現代では、それぞれが理想とする住まいの形もさまざま。リノベーションは「誰かが作った家にライフスタイルを合わせるのではなく、自分らしいライフスタイルに家を合わせる」という発想。そこにはシンプルライフの考え方のひとつである、「自分にとって何が大切か?自分が好きなものは何か?」といった自身の価値観を明確にしていきながら「物」だけでなく「暮らし方」「人間関係」までも対象に幅広く捉えた家づくりを叶えるのがリノベーションです。
実際に、設計士とリノベーションの構想をしていく中で「理想の暮らし方が明確になってきた」という声や、住んでからも「集中力が高まる」「朝気持ちよく起きられるようになった」など快適な気持ちで日々を送ることができるようになった方が多くいらっしゃいます。

 

 

そして、最後にもうひとつ。環境変動により、季節ごとの異常な天候や自然災害を肌で感じることが増え、直視せざるを得ない状況まで来ています。だからこそ、地球環境、住宅、自分自身がつながった自分事と捉えて、暮らしを選んで行く。
私たちは、今生きているこの地球を、これからも住み続けられる環境を、子どもたちや次世代に遺しつないで行く責任があります。これからも続いて行く未来のためにリノベーションという選択肢をおすすめしています。

 

 

 

○参考HP:

日本の住宅ストックについて

https://www.renovation.or.jp/renovation/stock/

 

環境のため、ストック住宅を活かす建材を探してみよう

https://www.kenzai-navi.com/column/colum0134.php

 

リノベーションが実現するSDGsな社会

https://www.happy-renovation.com/blog/?p=3783

 

フロー型からストック型へ!日本が変わる、建物の運用も変わる

https://www.ntt-f.co.jp/column/0082.html

 

脱酸素ポータル カーボンニュートラルとは

https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/onnela

 

シンプルライフってなに?断捨離との違いやメリット、始め方も解説

https://onnela.asahi.co.jp/article/18817#i-2

 

省エネリフォームとは?工事の種類や補助金・減税制度を解説

https://www.entetsureform.com/blog/2022/06/00116/

 

リフォーム産業新聞/「新築偏重時代に終止符を」
リフォームでCO2排出最大7割減...三井、住友、東大、リノベるが立証

https://www.reform-online.jp/news/reform-shop/21209.php

 

性能向上リノベ
「性能向上リノベーション経験者に聞いてみた」

https://pirenoconsumer.ykkap.co.jp/voice/

 

 

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