リノベーションのための中古マンション選び~私たちに合う物件とは?~
近年、若い世代の夫婦を中心に中古マンションのリノベーションが人気を集めています。中古マンション購入+リノベーションは、新しい住宅購入方法として一般的になりました。新築マンションと比べてリーズナブルな価格でありながら、注文住宅のような住まいが得られるのが魅力のひとつ。そんな住宅購入方法の成否を左右するといっても過言ではないのが、「中古マンション探し」です。
インターネットで「中古マンション 青葉区」などと検索すれば、SUUMOやHOME’s、at Homeなどのポータルサイトが表示され、そこにはたくさんの物件情報が掲載されています。
しかし、希望にぴったりの物件がなかなか見つからなかったり、どの物件を選べばいいのかわからなかったり、理想の物件と出会うのはそう簡単ではないのが現実です。
そこで、リノベーションを前提とした物件の選び方のポイントを解説していきたいと思います。
1.物件選びは何を基準にする?
例えば、賃貸物件を探す場合や分譲マンションを購入する場合は、まず場所、それから1LDK、3LDKなど間取りを基準に探していくことが多いかと思います。ですが、リノベーション前提での物件選びは、内装部の解体をするので間取りで選ぶ必要はありません。
では、何を基準に判断していけば良いのでしょうか?候補を絞りやすくするための判断基準を見ていきましょう。
下記のような1→2→3の順にセレクトしていくと、候補が絞りやすくなってきます。
1.【エリア】
自分が住みたい場所、通勤・通学のしやすさを考慮したエリア
2.【環境】
駅からの距離、商店街までの距離あるいは閑静な住宅街といったロケーション
3.【管理】
共用部分の状態や住人の雰囲気、修繕計画も含めた物件のコンディション
例えば、まず住みたいエリアと環境を決めます。
・市内の東西南北どの方面にするか?
・賑やかな街中、公園の近く、眺めのいい川沿いなど住みたい環境を挙げてみる。
次に、マンションの管理状態をチェックします。
ここで、賃貸でも気にされる方がほとんどの築年数についてですが、リノベーションの場合は、築年数よりも建物の管理状態の方が重要になってきます。
実際にリノベーションを前提とした中古マンションは、築20~30年の物件を購入する方が多く、価格が手ごろなことはもちろん、内装や設備、水回りに至るまで思い切ったリノベーションで新築同様の内装が実現できるので内装の状態がいくらボロボロだったとしても、心配ありません。むしろ、部屋自体よりも、リノベーションでフォローできないマンションの共用部分、エントランスや共用通路、外壁などの状態をしっかりとチェックして、メンテナンスの管理状態をよく見るようにしましょう。
【エリア】【環境】【管理】と希望条件が整ったところで、中古マンションの耐久性に不安がある方がいらっしゃるのも事実です。例えば、ご本人たちはこの条件で納得していても、援助をしてくださる親御さんから「築30年のマンションなんて大丈夫なのか。マンションの寿命は50年とよく耳にする」など、お子さんやお孫さんの将来を心配してくださるありがたいブレーキがかかることがあります。「マンションの寿命は50年」と言われている背景には、税法上の減価償却が鉄筋コンクリート造の住宅に関しては法定耐用年数を47年と定められていることが原因で、マンションが50年で崩壊してしまうという意味ではありません。
あえて寿命という視点でいうならば、約70年は大丈夫と言われていて、100年持つという考えもあります。つまり、築30年の物件を選んでも、その倍以上の年月は暮らすことができるわけです。数字だけでなく、実際の物件の状態を見て決めていくことが大切です。
上の「エリア」「環境」「管理」の3視点で建物を絞り込んで、さらにお住まいを決めるには、自分たちの生活スタイルを理解し、重要な要件を見極める必要があります。例えば、広さや階数などの特徴を理解しておくと、より具体的にどんな物件が自分たちに合っているのかが見えてくるでしょう。ここからはお住まいの要件を検討する上で参考にしてください。
2.家族構成別、必要な家の広さって?
快適に暮らすことができる家の広さは?
まず、世帯別に見た時にどのぐらいの広さがあれば快適に暮らすことができるのか国土交通省発表の住生活基本計画における居住面積水準(2006年施行2021年改定)を見てみましょう。
<国土交通省 住生活基本計画(全国計画)>
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000032.html
■最低居住面積水準
世帯人数に応じて、健康で文化的な住生活の基本として必要不可欠な住宅の面積に関する水準
■誘導居住面積水準
世帯人数に応じて、豊かな住生活の実現の前提として、多様なライフスタイルを想定した場合に必要と考えられる住宅の面積に関する水準
誘導居住面積水準は下記の通り、住みたい場所により表の見方が変わります。
【都市居住型】都市の中心及びその周辺におけるマンションなどの集合住宅に対する水準
【一般型】都市の郊外及び都市以外の戸建て住宅に対する水準
上記の表を参考にして家族構成別に見ていきます。
「単身者」
最低基準面積 25㎡
誘導基準面積水準
① 都市居住型 40㎡
② 一般型 55㎡
一人暮らしで必要な広さは住む人のライフスタイルによっても大きく変わりますが、単身者のリノベーションでは、リビング・キッチンと寝室をちょっとした間仕切りを設けて、50㎡もあれば充分な広さのリノベーションが可能かと思われます。
さらに、近年ではコロナ禍でリモートワークが一般化して、以前よりもお住まいに、暮らす以外の+αの活動も当たり前に行われるようになったため、広さを求める方が増えています。通常の生活スペースとは別に、リモートワークに備えたワークスペースを設けることや、将来的にパートナーと暮らすことを考えた場合では、50~55㎡の広さにすればゆとりのある生活が叶うでしょう。
「2人家族」
最低基準面積 30㎡
誘導基準面積水準
① 都市居住型 55㎡
② 一般型 75㎡
2人住まいの最大のメリットは、部屋数を減らして大きな部屋にまとめることにより、ゆとりのある暮らしが叶いやすくなります。そこを配慮した場合50㎡くらい。
リビングやキッチンを広くしたり書斎や収納を充実したりなどを考えるなら50~55㎡あれば2人でもゆったりと暮らすことができます。将来、子どもが生まれた場合でも、しばらくは充分な空間で暮らしていくことができる広さです。
「3人家族」
最低基準面積 40㎡
誘導基準面積水準
① 都市居住型 75㎡
② 一般型 100㎡
3人家族の場合、50~65㎡くらいがいいでしょう。
子どもの成長過程にも柔軟に対応できる広さで、プライベートスペースの充実も確保できます。65~85㎡あればさらにリビングを広くしたりウォークインクローゼットを設けたり、ゲストを招いてもゆとりのある暮らしができます。
ここでは広さを数字で示しましたが、間取り(レイアウト)や内装デザインの工夫ひとつで部屋の広さの見え方は変わってきます。家族構成と広さの目安の一つとして検討しておいて、インターネット上で広さの数字だけで見ているより実際に内見すると「こんなに広いんですね!?」と印象が変わったり驚かれたりする方も多いです。気になったら実際の物件を見る。これが一番です。
3.部屋の位置、方角、階数について
次は、物件の階数や方角における特徴の違いを紹介します。同じマンションでも、部屋の特徴の違いで住み心地がまったく違いますし、価格にも差が出ます。
一般的には「上層階・角部屋・南向き」の部屋が人気ですが、誰にでもおすすめの部屋というわけではありません。どの部屋にも必ずメリットとデメリットがあるため、それぞれのライフスタイルに合わせて「どの部屋がベストか」を見極めることが必要になってきます。
部屋の位置(角部屋・中部屋)
マンションの部屋は位置によって次の2つに分けられます。
01.角部屋:マンションの端に位置する住戸のこと。隣接する住戸は片側のみ。
02.中部屋:両側に部屋がある住戸のこと。
それでは、角部屋・中部屋の違いを見ていきましょう。
【角部屋】
メリット
〇日当たりが良い
〇通気性が良い
〇眺望が良い
〇プライバシーを確保しやすい
〇隣人の生活音が気になりにくい
デメリット
×中部屋と比較して価格が高い
×光熱費が高くなりやすい
×冬場に窓が結露する可能性がある
×外の音が聞こえやすい
角部屋は人気がある部屋の位置ですが、以下のような条件を特に優先したい人に向いています。
・とにかく日当たりが良い部屋を希望
・部屋からの眺望を楽しみたい
・隣人の生活音に敏感
・プライバシーを確保したい
角部屋は窓が2~3つ設置されているため、日当たりや眺望が期待できます。換気がしやすいのも嬉しいポイント。マンションの端の位置なので、ほかの住人に玄関の前を往来されることがありません。
プライバシーを確保したい人にもおすすめです。
【中部屋】
メリット
〇角部屋よりも価格が安い
〇冷暖房の効率が良く、光熱費を節約できる
〇外の騒音の遮音性は高い
〇家具のレイアウトがしやすい
デメリット
×部屋の方角や立地によっては日当たりが悪い
×上下階や両サイド(左右)の隣人の生活音が気になることも
×玄関前を住人が往来する
<中部屋が向いている人>
・暑がり・寒がり
・購入価格を抑えたい
・光熱費を節約したい
・外からの騒音に敏感
・多くの物件から部屋を選びたい
中部屋はコスパの良さが特徴。部屋に挟まれた中部屋は、左右の部屋が断熱材の役割をしてくれるため、外気の影響を受けにくく、光熱費の節約になります。
角部屋と比較すると一般的に購入価格が安いことも魅力です。
方角(東西南北)
部屋の方角は「マンションのバルコニーがどの方角にあるか」で判断します。
日当たりに影響するので、多くの人が重視するポイントでしょう。
では、方角ごとの特徴を見ていきましょう。
【東向き】
・朝日が差し込む
・午前中の日当たりは良い
・夏は涼しい
・午後から日が当たらない
・冬は寒く感じる
<東向きが向いている人>
・朝型の生活を送っている
・日中に家にいることが少ない
・夏の暑さが苦手
【西向き】
・午後から西日が差し込む
・冬は暖かい
・ほかの方角より価格が低め
・午前中の日当たりが悪い
・西日で家具やカーテンが日焼けすることがある
<西向きが向いている人>
・日中に家にいることが少ない
・冬の寒さが苦手
・マンションの賃貸費用や購入費用を抑えたい
【南向き】
・一日中、日差しが入るため明るい
・最も人気のある方角で資産価値が維持しやすい
・価格が高い
<南向きが向いている人>
・日中に家にいることが多い
・購入後の資産価値の高さを重視する
【北向き】
・ほかの方角より価格が安い
・夏は涼しい
・1日を通して日当たりが期待できない
・洗濯が乾きにくい
<北向きが向いている人>
・購入価格を抑えたい
・日中に家にいることが少ない
・日当たりよりも間取りや設備、周辺環境を重視している
階数(高層階・中層階・低層階)
マンションは階数によって住み心地や価格が変動します。階数は「高層階・中層階・低層階」の3種類に分類されます。例えば、10階建てのマンションで考えた場合、一般的には以下のように分けます。
・高層階:6階以上
・中層階:4階以上
・低層階:1~3階
マンションの階層分類には厳格な定義はないので、「何階建てのマンションか」によって異なってきます。そのため、低層階は「マンションの下部分1/3、中層階は真ん中、上層階は上部分1/3あたり」と考えるといいでしょう。
では、部屋の階層ごとの違いを見ていきます。
【高層階】
〇日当たりと眺望が良い
〇プライバシーを確保しやすい
〇(最上階の場合)上階への騒音を気にしなくてよい
×価格が高い
×エレベーターが止まると、外出が困難
×強風や地震で揺れが大きくなりやすい
<上層階が向いている人>
・部屋から眺望を楽しみたい
・予算に余裕がある
・日当たりの良い部屋を希望する
・室内に虫が入ってきてほしくない
【中層階】
〇高層階より低価格
〇ある程度の眺望や日当たりが期待できる
〇エレベーターが停止しても対応できる
×地震の揺れが低層階より大きい
<中層階が向いている人>
・ある程度の日当たりや眺望を希望
・マンションの購入費用を抑えたい
・窓を開けたり、洗濯物をベランダに干したい
・緊急時の避難や荷物の運搬を大きな負担なく行いたい
【低層階】
〇価格が安い
〇災害時でも避難経路を確保しやすい
〇(最低階の場合)下の階への騒音を気にしなくてよい
×虫が侵入しやすい
×日当たりや眺望が望めないことも
×プライバシー面が気になることも
<低層階が向いている人>
・外出やゴミ出しを楽に行いたい
・マンションの購入費用を抑えたい
・老後までずっと暮らす予定
・洗濯物や布団をベランダに干したい
・緊急時の避難や荷物の運搬をスムーズに行いたい
このように、部屋の位置、方角、階数によってそれぞれメリットとデメリットがあります。
自身のライフスタイルに合わせて、部屋を選ぶ際の参考にしてくださいね。
4.自分たちに合った条件を定め、営業さんに相談
今回は、リノベーションを前提とした中古マンションの選び方について紹介しました。
ですが、これはあくまで一例で、実際に中古マンションの状態を見て検討していくことが自分に合う物件と出合うための一番の近道です。
不動産会社、またはリノベーションを前提に考えている場合は、弊社のようにお住まい探しからリノベーションまでワンストップで対応している会社に出向いて相談してみましょう。リノベーション時の注意点や懸念点などもそこで一緒に解決でき、その後も大きなトラブルもなくスムーズにお住まいづくりができます。物件に求める条件を整理する意味でも、複数のお住まいを見ることをおすすめします。営業さんに相談することで、自分にとって大事なポイントが見えてきて、ライフスタイルに合った提案をしてもらえます。住む人に寄り添うお住まいづくりが叶うリノベーション。是非、お店に足を運んでリノベーションの魅力を感じてくださいね。